2021.10.25何がレアルに勝利をもたらしたのか クラシコ 総括

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▼マドリーは、国際マッチウィーク前、立て続けで格下に躓いたが、この試合の直前のCLでは攻撃陣が爆発した。イタリア人指揮官はそのキエフでの試合と全く同じ選手を先発として送った。試合前、「恐怖心はポジティブな感情、恐怖心がなければライオンを猫だと思って戦うことになる」そう語っていたように、下馬評は有利とされていたが、一切の隙のない入りを見せた。▼モドリッチ、クロース、カゼミーロの中盤トライアングルは圧倒的な安定感を見せ、CBのミリトン、アラバのコンビも集中力を終始欠かさなかった。左サイドバックにもマンディが復帰して磐石だ。ポイントは右サイドバックだった。バルサの攻撃陣のキーマンは好調のアンスファティ、そこに対峙するのが守備に不安の残るルーカスバスケスだ。先のビジャレアル戦のミスからアンチェロッティはルーカスバスケスサイドバック起用をやや牽制気味だ。だがこの試合、カルバハル負傷の代役でナチョやフェデを差し置いて抜擢された。結果的にこの試合ルーカスバスケスが想像以上に上手く対応したのは言うまでもないが、モドリッチのケアがカギだった。両サイドバックとも攻撃参加はやや控え気味だったが、それでもサイドにスペースができると、瞬時にモドリッチがケアをする。さすがはバロンドーラー、健在だった。

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サイドバックの先発が注目された

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右サイドの人選が敗北につながった


▼この試合の結果の分かれ目を挙げるとしたら、25分デストのシュートといえるだろう。デストを擁護するとすれば、直前で味方選手が少しだけ触り、僅かにボールが弾んでいた。クルトワの寄せも的確で、決め切るのは確かに困難だったかもしれない。しかし、あそこで決められなかったことが、大きすぎた。マドリーとしては本当に助かった。この試合マドリーが見せた最初で最後の隙だった。GKシュテーゲンからのロングボールを相手にキープされ、簡単にミリトンが入れ替わって、左サイドに流れてからのグラウンダークロスだった。ヴィニシウスの抜け出しからチャンスを作りだした直後の、マドリーの集中力が緩んでいたところでのピンチだった。▼この7分後にマドリーの伝家の宝刀、世界最高級のカウンターが炸裂した。今夏偉大なカピタンの退団によって左センターバックを担うアラバは、そのカマスの王以上の効果をマドリーにもたらしている。空中戦と統率力こそ劣るものの、経験値は引けを取らない。ロングボールの配給、楔の縦パス、クロスの精度、オーバーラップ、守備力はおそらく上回る。今回の一流FWのようなシュートを見せられたらもはやアラバはマドリーのシンボルだ。もちろんアラバだけで奪った得点ではない。ヴィニシウスの仕掛けと広い視野、ロドリゴのラストパス、ベンゼマのランニング全てが完璧だった。この試合バルサはとことんミンゲサがやられた。この高速カウンターの起点、ヴィニシウスが仕掛けた時、ファウルでも止めるべきだった。あまりにも簡単に足を出して、抜かれた。失点につながった。

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すでに白い巨人の中心選手となった

▼この一点を得たマドリーは、試合巧者ぶりを発揮し、無理をせずトドメを指す機会をずっと伺っていた。後半開始直後、コウチーニョを投入してややバルサ優勢になった時間帯を耐え抜いた時点でマドリーの勝利はほぼ既定路線だった。バルササイドは残り時間が短くなるにつれ、もはや定番のパワープレーを始めた。ルークデヨングの投入も、ターゲットになるどころかボールロストが目立ち、強固なるマドリー守備陣にことごとく弾かれた。最後にカゼミーロのボールロストからピンチを招いたが、逆にそこからカウンターでトドメを指して、勝負は着いた。ラストプレーで勝利を既に確信してマドリーは気が緩んだか、アラバの転倒もあり、アグエロが流石の決定力でバルサが意地を見せた。▼2-1というスコアだったが、スコア以上の差があり、また逆にデストが一点を決めきっていれば全く異なる試合内容にもなり得た大変面白い試合だった。MVPには主役のアラバを選ばざるを得ないが、あえて影のMVPをつくり、そこにモドリッチを選出したい。アンチェロッティが今季初めてモドリッチをフル出場させたことが裏付けるように、この試合のキーはモドリッチだった。マドリー指揮官はバランスを取るのがとにかく上手い。今日はモドリッチに右サイドの守備的不安を解消するタスクを担わせた。アンチェロッティの選択も、それを100%こなすモドリッチも流石だった。そして試合を通して、バルサを前に釣り出して、カウンターを狙う戦術がハマった。▼逆にバルサ指揮官は右サイドの先発で前線にコウチーニョ、バックにデストを置くべきだった、結果論だが。前線がコウチーニョであれば、デストが外したあの決定機、決めていたかもしれない。バックがデストであればヴィニシウスにもう少し対応できたかもしれない。せめて、右センターバックはピケにしてカバーしておくべきだった。ヴィニシウスとミンゲサのミスマッチが大きすぎた。皮肉にも、バルサは試合前指揮官が語ったようにハイレベルで堅いチームの対決では決定機をものにした方が勝つ、という通りになった。クラシコは56年振りの4連敗、クレの不満は最高潮だ。
つまり、マドリディスタの満足度は最高潮である。

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今日の勝利の立役者 バロンドーラー健在だった

写真はレアルマドリード公式HPより

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