2021.10.31本物になっていたヴィニシウス カルレットは各所のポジティブ要素を束ねられるか vsエルチェ

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▼前節、クラシコでの勝利の良い流れが途絶えるスコアレスドローに甘んじたマドリーは僅か中2日で敵地に乗り込む。ベンゼマを温存させた一方でモドリッチが先発に復帰、ヴィニシウス&ロドリゴはスタメンに名を連ね続けている。対するエルチェは知将エスクリバのもと攻撃的なサッカーを展開。パストーレやルカスペレスの技術とルーカスボジェのキープ力でマドリー相手に果敢に攻め続けた。▼この試合のポイントは主に2つ。まず、とにかく展開が速かった。攻守のトランジションが活発で、カウンターのカウンター返しの応酬だった。マドリーの中盤3枚はそれに着いていけず、厚みのある攻撃は出来ず、奪われた後に数的不利の守備をすることも少なくなかった。一方のエルチェはラウールグティがアグレッシブに中盤を制し、両サイドバックもアップダウンを繰り返し、とにかく厚かった。▼2つ目のポイントはエルチェのヴィニシウス封じだ。何も特別なことはしていなかったが、対峙する右サイドバックパラシオスがスピードで勝っていた。センターバックのエンゾロコもカバー範囲が広く、今日はヴィニシウスの日ではないと思っていた。▼しかし、今のヴィニシウスは別格だった。得点が取れるようになり、今後ヴィニシウスを消しに来るチームが増えるだろう。そこで、得点を取り続けられるか、また逆に周りを活かせるかが注目であるが、今日も僅かな隙を突いて結果を残して見せた。どちらも鋭い縦パスから3人目の動きでヴィニシウスが抜け出して奪った得点だ。前半22分の場面は、相手の自滅からカゼミーロの縦パス&マリアーノの落とし。後半28分の場面は、クロースの縦パス&モドリッチのDFラインと中盤の間で受けての丁寧なスルーパス。この試合マドリーが得点出来る可能性のあるシーンはほぼこの2場面しかなかった。どちらも決して簡単なシュートでは無い。元マドリーのGKカシージャの寄せも受けながら、角度もないなか決めきった。ヴィニシウスは本物になっていた。今後、多くの相手が試合のポイントにヴィニシウス封じを掲げてくるだろう。怪物になるにはその中でも活躍を続けることが必要だ、あのクリスティアーノのように。

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▼この試合に話を戻す。この試合インテンシティは非常に高かったが、カードが出たのはラウールグティに2枚だけ。それだけに2枚目が痛かった。1枚目を貰うのが早かったというのもあるが、カウンター封じに犠牲になったため仕方がなかった。問題は2枚目だ。クロースが見事にはめてみせた。マドリーサイドではあるが、あまりに可哀想に見えるシーンだった。直前のコーナーキックでフアンモヒカがスタンドを煽っていた。その直後に熱くなりすぎて退場者が出た。▼エルチェのファンにはマドリディスタが多い。スペインの中小クラブのサポーターは地元のクラブを応援しながらも、第二の応援先としてマドリーやバルセロナなどを応援し、欧州カップ戦を楽しんでいる。しかし、今日はそのマドリー相手で余計に熱くなっていた。最高の雰囲気だったが、冷酷な程にクロースが落ち着いていた。▼結果この試合はマドリーが逃げ切って勝利を挙げたが、終盤カゼミーロのパスミスから失点し、あわやという展開だった。その失点がなければ、カゼミーロ自身の流血も、マリアーノの鼻骨骨折もなかったかもしれない。過密日程の中、試合の締め方を間違えると無駄な故障に繋がる。カゼミーロは今シーズンボールロストの多さが批判されている。私はダブルボランチでクロース&モドリッチを軸にカゼミーロとフェデやカマヴィンガを上手く起用し、トップ下にアセンシオ、右にロドリゴもしくはフェデで構成するのが最も効果的に思える。もちろん決断するのはアンチェロッティだが。▼また、今日のモドリッチは自分自身でプレーに納得がいっていないようだった。アセンシオのピンポイントのセンタリングを受けたがコントロールミスしたり、中盤でボールロストをしたり。しかし、最後クロースの縦パスをバイタルでうけ、ヴィニシウスにアシストした場面で全てが報われた。▼ミリトンとアラバは最高のコンビになりつつある。ミリトンがスライディングで突破を防いだプレーにアラバが大声をあげながら駆け寄り褒め称えるシーンがあった。アラバは完全にDFラインの統率者となっている。マドリーの最古参であり主将であるマルセロのバックヘッドクリアのプレーに賞賛する大声を掛ける場面が印象的だった。DFラインのアップダウンの調節もアラバが担う。アンチェロッティの元、新戦力が上手く順応し、各所にポジティブな要素がみられ、バランスの良いチームになりつつある。▼ヴィニシウスの爆発と、相変わらずのベンゼマの好調で攻撃もまずまず。ただ今日の試合で前節同様、攻撃バリエーションの少なさは感じられた。ロドリゴやアセンシオがもう一息。彼らにもう少し継続力のある、もう少し再現性のある攻撃を見せて欲しい。ダブルボランチとトップ下を採用して4-2-3-1が最も可能性の高い解決策になる気がするが、イタリア人指揮官の決断に注目したい。アンチェロッティは今日の試合、エルチェの両サイドバックのコロンビア人コンビを封じるためにハーフタイムに修正を入れてきた。彼らのマークにアセンシオとヴィニシウスを任命した。特にアセンシオのフアンモヒカへの寄せの距離が変わった。アンチェロッティは試合中の修正力も優れている。▼またミッドウィークにCLを戦い、来週末に好調ラージョを打ち破り、気持ちよく国際マッチウィークを迎えたい。

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写真はレアルマドリード公式HPより