2022.4.30 ベルナベウでの歓喜 vsエスパニョール

アンチェロッティはCLシティ戦の間ということもあり、大幅なターンオーバーを敷いてきた。

 

 

 アラバ、ミリトン、カルバハル、マンディ、クロース、フェデ、ベンゼマ、ヴィニシウスらを先発から外し、先発したカゼミーロ、モドリッチロドリゴらも途中で交代させた。シティ戦に向けて 最高のシナリオだった。

 しかし、この試合はそれ以上に価値のあるものだった。 引き分け以上でリーガ制覇が決まる。それも、ベルナベウでの観衆の前で決めるのは久しぶりのことだった。前回の優勝はジダンのもと、アルフレッド・ディ・ステファノでの優勝決定だった。ベルナベウ改修中、コロナ禍のなかのリーガ制覇だった。そういう意味ではホームの観衆の前で決めるということは特別で、この試合で優勝を決めることが求められた。それに4日後には、彼らに大きな力を借りなくてはならない試合が控えている。

 この試合、MVPはセバージョスだろう。前線からのプレッシング、ボールキープ、キーパス素晴らしい出来だった。来シーズンも必要な選手だ。CLでも戦力になる。モドリッチ、クロースの後釜も安泰だ。東京オリンピックでの負傷によって前半を棒に振ったシーズンだったが、徐々に存在感を増して来た。この試合初めての先発フル出場、特に終盤は無双だった。54分3点目に繋がる必死のスライディングでのシュートブロック、68分ペナルティエリア内でのピンチからボールを拾って陣地回復のドリブルとスプリント、続く69分カマビンガがインターセプトしたボールを中盤で受けると、幻の4点目に繋がる華麗なダブルタッチで相手をかわしてそのままスプリント、75分にはイスコのロストから生まれたカウンターの芽を連続スライディングでカット、これにはベルナベウも大いに湧いた。86分、87分にはビルドアップで相手を翻弄...まさに圧巻のプレーだった。パス本数はチーム最多の80で成功率は95パーセント。タックル3、ボール奪取9、ドリブル成功4もチーム最多だった。

 

 

 ダニセバージョスがMVPだが、2ゴールのロドリゴ、1ゴールのアセンシオ、カマビンガやバジェホ、マルセロも素晴らしかった。いつもの如くクルトワも完璧だった。 マリアーノも開始早々のモドリッチのアシスト殺しこそあったものの、ロドリゴのゴールのアシストや、アセンシオのゴール時は巧みなランニングで相手を引き付けるプレーと及第点だった。

 ロドリゴは左サイドの方が活き活きとしていた。もちろんヴィニシウスのいるサイドのため、なかなか左での起用は担保されないだろうが、マルセロとの左サイドコンビもまだまだ見たいものだった。ロドリゴの先制点はマルセロとの見事な崩しから、ファーサイドへのゴール。2点目はショートカウンターから個人技で股を抜いてニアサイドへ。

 アセンシオの3点目はカマビンガがボールカットし、50m以上運んでのラストパスを逆足で決めきった。4点目はヴィニシウス・ベンゼマコンビでエースが締めくくる完璧なシナリオだった。

 

 

 85分のベルナベウの大観衆のウェーブを見ると、この試合の出来がよく分かる。パス交換の度にあがる歓声や、アディショナルタイム終盤でのカンペオーネの大合唱、試合終了ホイッスル後のアラマドリード・イ・ナダ・マスの音楽に合わせて大合唱。リーガ35回目の制覇に酔いしれた。

 試合後、おちゃめなアンチェロッティを見れたのは非常に嬉しい。5大リーグ制覇を成し遂げた偉大な監督をベルナベウで胴上げできた。セレモニー後、アンチェロッティが導き、センターサークルで選手もコーチ陣も、スタッフも、ひとつの輪になって喜びを分かち合う光景は最高だった。レアルマドリード・オレの大合唱を聞くのはいつでも最高だ。筆者は鹿島とのクラブワールドカップの際、実際に生で聞いたが忘れられない。

 

 

 もう一度このチャントを聞きたい。ビッグイヤーもシべーレス広場へ。リーガ優勝の喜びに浸り、大観衆とも喜びを分かち合い、最高の状態でベルナベウに強敵を迎え入れる。その彼らもまたプレミア制覇へ1歩前進したようだ。レッズとの熾烈な競走で取りこぼしが許されない中、アウェーでこちらも4-0。

 もう一度ベルナベウで伝説をつくる準備は整った。パリ戦でのベルナベウの魔法から始まったこのストーリーを、サンドニで締めくくるために。

 

 

 

シベーレス広場

 

写真はレアルマドリード公式HP

 


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