21-22 全選手査定 【後半】

〈カゼミーロ〉A

 シーズン前半戦はビルドアップ面でのウィークポイントが目立った。しかし、クロース・モドリッチとのトリオの安定感は抜群だった。徐々にビルドアップ時はクロース・モドリッチが落ちるという、お決まりの適材適所の役割分担がなされるようになった。カゼミーロ不在のCL準決勝第1戦、シティとのアウェー戦で4失点を決したのは、カゼミーロの不在が響いたといえる。逆に、ラウンド16のパリとのセカンドレグでは不在ながらも影響はさほど感じなかった。得点力も落ち、昨季程まで絶対的な存在ではなくなった感は否めない。それでもやはり、彼がいるかいないかでは、特に緊張感の高い試合で守備面の安定が違う。

 

〈フェデ〉S

 シーズン初め、クロースが負傷離脱中だったため先発常連だった。しかし、クロースが戦線復帰以来、カゼミーロ・クロース・モドリッチのトリオの控え要因に。それでも、馬力のあるキックと推進力溢れる陣地回復は彼らにはない特徴で、右ウイングとして新境地を開いた。アグレッシブな前線からの守備へと舵を切った、パリとの第2戦以降、CLでは全試合先発出場。決勝でもアシストはもちろん、重要な役割を果たし続けた。来季こそはトリオに割って入れるのではないか。

 

〈ヨビッチ〉B

ベンゼマの控えとして役割を果たしきれなかった。ベンゼマとプレースタイルが異なるのはもちろん、ベンゼマという偉大な選手の代わりを務めるというのは無理難題だ。同情すらしたくなる。というのも試合に継続的に出れれば、信頼さえしてもらえれば、きっと状況も変わるだろう。12月ベンゼマが離脱した期間、特にソシエダ戦、ポストプレーも泥臭いゴールもハイクオリティだった。ベンゼマと異なり、どっしりとワントップで構えるスタイルに、周りがサテライトして対応してくれれば彼も華は開くだろうに。惜しいが来季の去就は未定だ。

 

〈ルーカスバスケス〉A

 完全に右サイドバックの控えとして、立場を確立した。アラバのゴールで勝利した、最初のクラシコでは先発出場しカルバハル不在の心配を払拭した。アディショナルタイムには結果的に決勝ゴールとなる得点も奪った。ナチョとならんで、派手さはなくともチームに必要な選手だ。献身的なプレーは来季も苦しい時にチームを助けるだろう。

 

〈ベイル〉C

 トッテナムから復帰した今シーズン初めは、ベンゼマアザールとともに最強スリートップ再来かと思われたが、負傷癖は治らず。得点も2節の1点のみ。代表での活躍を見れば、マドリーで歴史をまた作れると期待したいが、マドリーのベイルは今季まで。14年のコパ決勝の独走ゴール、14年リスボンでのデジマ決勝点、途中出場からのオーバーベッド含めた2発を叩き込んだ18年のCL決勝、、、印象的なゴールをいくつも残しながらも、どこか悲しい終わり方になってしまった。13年の加入からの彼の功績は間違いなく、マドリディスタの記憶とクラブの歴史に刻まれた。

 

〈セバージョス〉B

 シーズン後半戦に限ればもっと高い評価となっただろう。オリンピックの負傷で棒に振るった前半戦が悔やまれる。しかし、シーズン佳境で目を見張るプレーを繰り返した。優勝決定のエスパニョール戦はまさに彼の独壇場だった。CL決勝でも途中出場を果たし、準レギュラーの立ち位置を確立させた。アンチェロッティの信頼も感じただろう。チュアメニ加入決定の逆風もあり、来シーズンの去就はさらに不透明だが、絶対に残って欲しい。

 

〈ヴィニシウス〉S

 今シーズンのブレイクで、当初アザールのポジションを完全にものにした。マドリー愛溢れるプレーぶりも今後のマドリーで作る歴史に期待が止まらない。ベンゼマとのコンビは最恐で、どのチームでも分かっていても止められなかった。最高評価に至らなかったのは年明けから得点ペースが落ちたことが、成長材料といえるから。それでもなんとか終盤まで状態を維持し続けた。シティとの準決勝、リヴァプールとのファイナルでも得点を決め、ビッグマッチでも存在感を発揮した。マドリーの未来は彼にある。

 

ロドリゴ〉S

  なんと言っても、3度目のベルナベウの魔法の夜の2ゴール。90分、91分の夢は歴史的なものだった。チェルシーとのセカンドレグでも、グループステージのインテル戦でも、リーガ優勝決定エスパニョール戦でも重要なゴールを決めた。決勝こそフェデの右ウイング起用により、先発出来なかったものの、限られた時間で期待以上のプレーを見せてくれた。来シーズンはヴィニシウスとの両翼で絶対的な存在へ。

 

〈イスコ〉C

 彼が今シーズンチームに顔を出したのは、年明けの国王杯の1試合だけだ。リーグ戦でも稀に出場するもあのころの輝きはどこに。魔術師としてベルナベウをまた湧かせて欲しかった。今シーズンでマドリーのイスコも終わりだが、間違いなく彼もマドリーの歴史の1部だ。絶対的な存在となりきれないマドリーでのサッカー人生だったが、サッカー界に取ってももう一皮むき切りたい。

 

〈マンディ〉A

 攻撃面でも守備面でも魅力的な存在であり続けた。重要な局面で負傷したり、出場停止を食らったりしたことは反省点。ビルドアップにやや不安感も残った。それでも無理のきくディフェンスは、彼の身体能力があってなせるもの。シティ戦のゴールライン上のクリアはハイライトのひとつだ。来季はリュディガーの加入で、アラバの左サイドバック起用のカードも増えた。間違いなく来季は勝負のシーズンだろう。

 

〈マリアーノ〉C

 たまに得た機会も活かすことが出来なかった。リヨン時代の活躍を期待されて7番をつけた頃からくすぶり続けている。ラッキーボーイ的な活躍をしてくれそうな雰囲気はあるのだが、、来季の去就は未定だ。

 

〈カマビンガ〉S

 マドリーで過ごす初年度とは思えなかった。派手なベルナベウデビューを飾り、インテル戦でクオリティを見せつけたが、カゼミーロ・クロース・モドリッチのトリオが再完成すると、再びベンチ要因に。それでも、リーガ・ソシエダ戦のミドルを叩き込んだあたりから、自信を取り戻し、アグレッシブなプレースタイルへと舵を切った後半戦は頭角を表した。シティとのセカンドレグ決勝点、ベンゼマのPK獲得シーンでは、推進力あるドリブルで影からゴールを演出した。チェルシーとのセカンドレグでも前線でインターセプトをし、セミアシストを記録するなど、重要な選手だった。1年目ながら、準レギュラーの座を確立させた19歳は恐るべき才能だ。来季はフェデとともにトリオに割って入る存在に。