2021.12.5 止まらないマドリー vsレアルソシエダ
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前節セビージャに勝利したマドリーは、ミッドウィークに延期分のアスレティック戦にも勝利して、好調レアルソシエダのアノエタに乗り込む。
対するソシエダはアスレティック、セビージャと並んで失点数がリーガ最小タイ、ホーム・アノエタでは今シーズンのリーガ無敗。最後に敗れたのは4月のセビージャ戦まで遡る。
注目の上位対決だが、マドリーは今週のミッドウィークに引き分け以上で首位突破が決まるCLインテル戦、そして何より来週末にマドリードダービーを控えるため、カゼミーロの累積警告リーチなど先を気にしながらの戦いとなる。
ところが試合開始早々、ベンゼマが負傷交代。ヨヴィッチと交代する事態になった。ヨヴィッチは27分モドリッチが何とか繋いだボールをロドリゴから受けたが敵に突っ込みあっさりボールロスト。31分にはカゼミーロの縦パスを簡単に背負ったDFにつつかれてロスト。前半中盤ソシエダの流れの時間帯、一切チームに貢献できないヨヴィッチをみて、ベンゼマの重要性と質の高さを実感させられた。ハーフタイムにベンゼマ不在の中での今日の試合と今後の大一番に不安を覚えていたが、ヨヴィッチはプロだった。ベンゼマという大エースの影で腐らずに整えていた。
後半開始早々2分、ヴィニシウスがカットインからヨヴィッチに預けると、ヨヴィッチは2タッチでヴィニシウスに完璧に落とし、ヴィニシウスのリーガ10得点目をお膳立てした。ヨヴィッチはこのアシストのシーンで特に顕著だったが動かない。ベンゼマのようにサイドに流れたり、中盤まで落ちてきたりすることはほとんどない。どっしりと真ん中で構え、勝負のタイミングのみで動き出す。周りもそれに理解してきた後半はヨヴィッチはチームに上手く溶け込んでいた。ヨヴィッチが流れない分、ヴィニシウスが右サイドまで流れるなど周りがサテライトのような動きをしていた。
さらには後半12分、CKから気迫のこもったダイビングヘッドを決めてみせる。ベンゼマには出来ないプレーだ。ヨヴィッチはベンゼマの役割は担えない。しかしながらベンゼマとは異なる良さをチームにもたらし、チームもそれを理解する時間があれば確実に機能する。ベンゼマというビルドアップに貢献的な選手から、突然ヨヴィッチに代わると周りもなかなか順応出来ない。しかしマドリーというチームのプレイヤーの質を考えればベンゼマ不在時にはヨヴィッチはマドリーのトップを担える連携は確実に取れる。ベンゼマの離脱期間がどれほどかは分からないが一安心だ。
あとはカゼミーロが不安材料だった。この試合何度も警告対象とも思えるシーンがあった。しかしベンゼマからキャプテンマークを引き継いだモドリッチなどがコントロールしながら何とか60分過ぎに、2点差になったため、カマヴィンガと交代した。カマヴィンガもリーチなのだが。カマヴィンガは交代後76分にカゼミーロばりのスライディングタックルを見せた。カゼミーロと同様のポジショニングを取れていた。DFラインと適切な距離感を保ち続け、危険なエリアに侵入されたらすぐさま対応できるポジショニングを取れていた。
カゼミーロに続きクロースを下げて休ませたが、モドリッチはこの試合フル出場した。おそらくインテル戦はお休みかもしれないが、今日のモドリッチは満点だった。周りを見ながら必要なところにいつもいて、カゼミーロと連携しながらDFライン前のポジションは空けることがなく、最後まで疲労を見せなかった。キャプテンマークの誇りなのかもしれない。CLでマルセロが途中出場した時、ベンゼマがすぐさまキャプテンマークをマルセロに渡しに行った。しかしその瞬間はカウンターのチャンスで、マルセロは「後でいい」といったジェスチャーをしていた。ベンゼマのマルセロへのリスペクトとキャプテンマークの重さの認識が伺えるシーンだった。
結果的にベンゼマの負傷こそあったものの、ヨヴィッチの躍進と、カゼミーロのマドリードダービー出場停止回避、難敵ソシエダ相手の勝ち点3。完璧な試合だった。
ヤヌザイ、オヤルサバルはかなりの苛立ちを見せていた。ミリトンがことごとく壁になり、組織的な守備で決定的なピンチはひとつも作らず、完勝だった。マドリーは勝ちグセがつき、良い流れで手堅く勝利出来ている。最高の試合だった。
そしてなんと言っても今節はバルサ、アトレティコ共にホームでベティス、マジョルカに敗れている。特にマジョルカは久保建英のアディショナルタイムの得点で勝利した。日本人としてマドリディスタとして今節はたまらなく気持ちいい週末だった。
止まらないマドリーはこの悪魔の7連戦を勝ち続けている。あと2試合ビッグマックが控えている。もちろんそれ以降の試合も同じ価値なのだが、シーズン中盤の大きな大きな山は順調に登り続けている。ベンゼマが負傷してしまったように過密日程の中苦しいところだが、チーム一丸となって登り切りたい。
写真はレアルマドリード公式HPより