2022.4.18 チームマドリーは無双状態に vsセビージャ

 

CLラウンド8でチェルシーとの激戦を制したマドリー。ファーストレグでの貯金が効き、ラウンド16に続いての逆転突破を果たし、勢いに乗る。リーガの優勝を確実にするために優勝争いの直接ライバルを打ち破るべく、サンチェスピスファンに乗り込む。

 

対するセビージャはリーガの優勝争い生き残りをかけ、勝利が絶対条件だ。ベルナベウでの前回対戦では、終盤ヴィニシウスに豪快ミドルを叩き込まれ惜敗している。

 

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この試合、マドリーはカゼミーロが出場停止。マンディとマルセロを怪我で欠き、セバージョスがコロナで離脱中だ。左サイドにはチェルシー戦で途中からCBを務めたカルバハル、右サイドにルーカスバスケスを置いた。中盤は底にクロース、左カマビンガ、右モドリッチの配置でスタートした。

開始からセビージャペースで試合は進んだ。セビージャはマドリーのアンカー・クロースをチェックし、マドリーのリズムを作らせない。すると20分、ゴール前のフリーキックからラキティッチが直接決める。ミリトンが壁を開けてしまい、クルトワはノーチャンスだった。するとセビージャの勢いは増す。サイドチェンジに上手くスライド出来なかったマドリーDFラインの先手をとるダイレクトで裏に抜け出すと、ミリトンを振り切りGKと一対一。抜け出したコロナは落ち着いて横パス。キーパーを外して、エリクラメラが流し込んだ。

立て続けの失点からマドリーは修正を施す。パプゴメスのチェックを受けて窮屈だったクロースをアンカーから、中盤左へと、1つ前へ出した。アンカーには中盤左にいたカマビンガを下ろした。すると中盤でボールを持てるようになり、劣勢を巻き返した。ベンゼマが2度ほど決定機を迎えたが決めきれず、0-2のままハーフタイムへ。

 

後半頭からアンチェロッティはテコ入れした。カマビンガに代え、ロドリゴを投入した。右サイドで先発していたフェデが中盤の一角に入った。この日のアンチェロッティは当たっていた。チェルシー戦でも、ロドリゴの投入、クロースを下げカマビンガを投入、モドリッチを中盤左に配置するという采配が2点を呼び込んだ。

開始1分、カルバハルがヴィニシウスとの連携でサイドの裏を取り、クロス。股を抜けた折り返しを右サイドから走り込んだロドリゴがダイレクトで沈めた。後半は一転マドリーペースに。しかしなかなか同点ゴールが決まらない。するとセビージャがチャンスをつくる。アウグスティンソンのクロスに、CB間でドンピシャにラファミルが合わせたが枠の外。トドメを刺し損ねた。ラキティッチが試合後述べたように、このシーンは試合を左右するシーンだった。その後ヴィニシウスのゴールが微妙なハンド判定で、取り消しになるも、セットプレーの流れでナチョが同点ゴールを決めた。ナチョも投入直後の得点だった。アンチェロッティはナチョを投入し、アラバの攻撃力を活かすため左サイドに配置した。アンチェロッティの狙いではないが、結果論、またもや采配が的中した。正直、この時点でマドリーが逆転勝利するシナリオはサンチェスピスファンの観衆でさえ見えていただろう。アディショナルタイム、右に流れてきたヴィニシウスが相手を引き付け、ロドリゴに預ける。受けたロドリゴはドリブルで相手を振り切りサイドの裏へ。マイナスのポジションをとるベンゼマに折り返すと、落ち着いて寄せてきたDFを倒してから、確実に沈めた。

逆転ゴール後、ベンゼマはベンチに向かい、出場選手もそれに続く。ベンチ前でベンゼマの上にのしかかり、重なり、全員が喜びを分かち合い、歓喜の輪が広がった。チームの雰囲気が伺えるシーンだった。

アンチェロッティは「パリ、チェルシーとの試合があったから、勝利を信じることが出来た。前半の不出来は監督のせい、後半の出来は選手のおかげ」と謙虚な姿勢を見せた。

マンチェスターシティとのセミファイナル、リーガ優勝決定へと向けて視界は良好だ。

 

 

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2022.3.10 ベルナベウの魔法 vsパリサンジェルマン

 

 アウェイでのファーストレグ、パリに圧倒されて0-1で敗戦した。今夏のマドリー加入が確実視されるムバッペに後半アディショナルタイムに決められた。手痛い失点だったが、クルトワのPKストップなど、パリに再三のゴールチャンスを作らせながら最少失点差での敗北に持ちこたえた。惨敗の試合内容から見ればポジティブな結果だろう。

 セカンドレグでの逆転に向けて、アンチェロッティ監督はチームの戦術を大幅に変更した。年末の強豪相手に連勝を重ねた際、引いて守り、守備からリズムを作り、カウンターで仕留める形で成功を収めた。しかしながらパリ相手に、まともなチャンスを作れず、ほとんどの時間を自陣で過ごし、押し込まれていた。そこで、引いて守るのではなく、前線からハイプレスを仕掛ける守備を一から構築し直した。直近のリーガ、ソシエダ戦ではほぼ完ぺきな試合内容を見せた。

 今日の試合も、前線から激しくプレッシングをかけた。出場停止のカゼミーロ、マンディに代わって、フェデとナチョが出場した。ホームの観衆の圧倒的な後押しを受け、ハイプレスでパリの出鼻をくじく。しかし、ムバッペが一本で裏をとりシュートまで持ち込むなど、徐々にマドリーの勢いはなくなっていく。マドリーにとって、ムバッペが常に脅威だった。一瞬のスキを見せたり、少しでも不用意に失えばムバッペにはやられる。体の向きやポジショニングなどの微調整、選手間の連携が今日のマドリー守備陣は高水準だった。それでもムバッペは前半のうちに1点を決めて見せた。

 カルバハルの不用意なボールロストから、ネイマールがムバッペに縦パス一本。対峙したアラバはファーのコースをしっかりと切っており、責められない。ニアのシュートだったのでクルトワには何とか止めてほしかったが、今のクルトワが決められてしまうシュートであれば、世界中どのキーパーも止めることはできない。

 残り45分で2点のビハインドという圧倒的不利な厳しい状況で、後半を迎えた。ムバッペの一本は相変わらず脅威であったが、恐れずに自分たちの積み重ねたハイプレスを実行し続けた。一瞬たりとも気を抜くことなく。すると、このハイリスクハイリターン先述のリターンが訪れる。

 

 

 ベンゼマがドンナルマに猛烈にプレッシングをかけ、ひっかけると、ヴィニシウスのもとにこぼれ、確実にベンゼマに繋ぎ仕留めた。ドンナルマは責められるべきだが、マドリーの戦術が効果を発揮した。特に後半は、ムバッペにはCBミリトンが対応し、SBはどんどん前へとプレッシングをかける。アンカーのクロースも引かずにプレスをかけて、開いたスペースはCBが押し上げる。どっちに転んでもおかしくはない、勇敢な高い集中力の必要な、ハイプレスであった。

 1点を返し、流れは完全にマドリーに。ベンゼマの惜しいヘディングシュートや、ヴィニシウスの左足でのGKとの1対1。この流れを逃していけないとハイプレスを続ける。カウンターの芽は各々が無理をして何とか食い止める。右サイドでメッシに激しいスライディングをかまして芽を摘んだモドリッチは圧巻だった。

 熱く、高い緊張感の中、一瞬も気が抜けない、息のつけない、とにかく要所要所に見どころの詰まった世界最高レベルのサッカーが展開されていた。ロドリゴとカマビンガを投入し、マドリーの勢いはさらに増した。

 75分。モドリッチのプレーには涙が出た。自陣深くの右サイドで、ネイマールの横パスをカットしたモドリッチは、とてつもない気迫のこもった推進力で2枚をはがしハーフウェイラインを超えると、左サイドのヴィニシウスへ。パリの守備陣も必死に戻り、ヴィニシウスのスピードに追い付く。ヴィニシウスがキープすると、パリDF4人が必死に食いつく。パスを出した後駆け上がってきたモドリッチがヴィニシウスから受けると、CBキンペンぺがモドリッチに食いつく。そのスペースを9番と10番は見逃さなかった。モドリッチがキンペンペの股を抜き、スペースのベンゼマへスルーパスベンゼマの思いのこもったシュートは、カバーに戻るCBマルキーニョスの必死のスライディングに当たりながらも、ネットを揺らした。涙が出た。リプレイが流れ、オンサイドを確認すると、涙がこぼれるとともに、とてつもない高揚感があふれた。これがチャンピオンズリーグなのであろう。これがマドリーの底力なのであろう。

 

 

 そしてその直後、キックオフ後のセンターサークル付近でバールを奪うと、ロドリゴから、ヴィニシウスへ。ヴィニシウスにはマルキーニョスが追いつくが、彼のカットしたボールは、マドリーのエースのもとへ。アウトサイドで流し込み、勢いそのまま逆転に成功した。いてもたってもいられなくなる感情になった。アラバのように椅子を掲げたかった。

 その後も試合後者ぶりを発揮し、ピンチを作らず、もはや空中分解状態のパリを振り切った。0-2から45分間で逆転して見せた。これがマドリーの底力だ。

 全員の勇敢で強烈なプレッシング。クルトワのファインセーブ。ミリトンの足を痛めながらの魂のこもったプレー。アラバの攻守にわたる貢献。神がかったモドリッチ。先発起用に応えたフェデのインテンティシーの高いプレー。裏をとり続けたヴィニシウス。大一番でのハットトリックを達成したベンゼマ。勇敢にハイプレスを要求・追求し続けたアンチェロッティ監督。ハイプレスの強度を後押ししたチャマルティンの観客。生涯忘れることのないであろう、圧巻の最高の試合だった。

 しかし、これはラウンド16。続くクウォーターファイナルや、週末のマジョルカ戦。そして勢いに乗るバルセロナとの伝統の一戦。マドリーはあと2つのタイトル獲得に向けて勢いに乗れるだろう。

 Hala Madrid ‼

歴史的な夜に

 


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2021.12.13完勝のダービー、勝つ気しかしない最高の状態 VSアトレティコマドリード

 

(読了目安6分)

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ミッドウィーク、インテル相手にクロース&アセンシオのミドルでしっかりと勝利しCL1位突破を決めたマドリー。この「中盤戦の山場」もいよいよ最終局面を迎える。

代表マッチウィークあけグラナダ戦からシェリフ、セビージャ、アスレティックソシエダインテルを超過密日程のなか全勝してきた。まさかここまでとは、想像以上のプレーぶりだ。アトレティコはミッドウィークCLでポルトを破り、大逆転でグループ2位に滑り込み、突破を決めた。バルサバイエルンに想像通りの完敗を決し21年ぶりのCLグループステージ敗退となった。そしてマドリードダービーキックオフの数時間前に行われたオサスナ戦、終盤に追いつかれ勝ち点2をまたもや取りこぼした。これで試合数は同じになり、8位バルサと15ポイントの差がついた。

リーガ三強で唯一の充実ぶりを見せているマドリーは出場が危ぶまれたベンゼマが先発に復帰し、右ハーフにインテル戦でスーパーゴールを決めたアセンシオを先発させた。ベイルが久しぶりにベンチに復帰したがもはやウイングはヴィニシウスとアセンシオもしくはロドリゴで充実している。アザールとベイルさらにはイスコは好調のチームに取り残されている形となっている。アトレティコはCBに負傷者が相次ぎコンドグビアを抜擢した。

試合はキックオフの瞬間からアンヘルコレアがクロースにファウルを犯したように、アトレティコらしいハイプレスを見せた。マドリーキックオフで試合が始まったが、アトレティコはコートチェンジを要求して、マドリーを何とか乱そうとあらゆる手を尽くしてきた、準備は万端のようだった。実際10分頃まではマドリーはハイプレスに苦しみアトレティコに押し込まれる展開に。しかし今のマドリーは、「ボールをもっても持たなくても強い。」どっしりと構え、クルトワを中心としてミリトンなどがことごとく相手攻撃をはじき返す。

すると10分を過ぎるあたりから流れは徐々にマドリーへ。モドリッチが左サイドに顔を出し、いい距離間・リズムでボールが回るようになった。また、マンディがインナーラップを仕掛け、ワイドでヴィニシウスがフリーで受けることができるようになった。そして、モドリッチ&クロースを起点とした後方からのビルドアップもアトレティコのハイプレスに慣れてきてマドリーペースになってくる。

すると前半16分。前線からプレッシャーをかけ、コケのパスミスを誘う。コケがやや窮屈に縦パスを差し込むと、わざとコースを開けていたモドリッチがカットする。そのボールを拾ったカゼミーロが運び、ベンゼマへ。ダイレクトでアセンシオに繋ぐとベンゼマはゴール前へ。アセンシオは右に流れたヴィニシウスを使う。抜け出したヴィニシウスはタイミングをずらすステップを踏んでドリブルしながら、マイナスで待ち構えるベンゼマへ。さすがのベンゼマ、美しくエレガントなボレーをゴール右隅に叩き込んだ。モドリッチの頭脳プレーから、最高のクオリティのショートカウンターだった。

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ベンゼマとヴィニシウスは阿吽の呼吸でつながっている。感覚で通じている彼らを相手にはアトレティコの守備陣をもってしても歯が立たない。また、ベンゼマやヴィニシウス(ロドリゴも顕著だが)は守備面での貢献も際立つ。タイミングよくプレスバックするとステルス態勢でボールをかっさらう。19分には自陣再度深い位置にベンゼマがプレスバックしボール奪取した。

グリーズマンのFKをクルトワが防ぐなどマドリーもピンチは幾度か迎えたが決定機は作らせない。マドリーもヴィニシウスの左足シュートをオブラクがはじいたり、後半開始早々にアセンシオがゴール前まで侵入したりと一進一退の攻防が続く。

ハーフタイム、マドリーはベンゼマが前半のみでよヨビッチと交代。アトレティコはトマレマル&フェリックスを投入し4-4-2にシステムチェンジ。すると策が功を奏して、後半開始5分ほどたつと流れは再びアトレティコへ。左サイドを崩し、クロスの流れからフェリックスがミドルシュート。抜け出したクーニャがシュートまで持ち込むなどチャンスを作る。しかし、マドリーの守護神は何事もなかったかのように安定感のある余裕のセービングをみせ、アトレティコの得点の匂いは全くしない。

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すると、押されながらも逆にマドリーがダメ押し点を決めることとなる。ミリトンのフィードをクロースが頭で反らすと、ヨビッチがポストプレーでコンドグビアに勝ち、前を向き、持ち出す。左のヴィニシウスへ預けると、大外フリーになっていたアセンシオへラストパス。アセンシオは左でダイレクトでファーに流し込み追加点。すさまじい決定力を見せる。速い攻撃、速い攻守の切り替え、重要な場面でのプレーの質、、あどりーは強すぎる。しかし、この得点のキーマンはカルバハルだ。最後尾のビルドアップで、ミリトンがロングフィードを蹴った瞬間、インナーラップしていたカルバハルは中盤のクロースとほぼ同位置にいた。そしてそのままここぞの機会と見極めゴール前までランニング。得点を演出する異次元のサイドバックだ。ケガがちのため後半途中でナチョと交代したが、高いレベルのプレーを見せた。

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マドリーはその後も決定機を一切作らせず完勝。シメオネも完敗を認めざるを得ない試合内容だった。フル出場したカゼミーロ・クロース・モドリッチのトライアングルがマドリーの勝利を保障している。この試合の特に際立つMVPはモドリッチだろう。今期も継続的に世界最高レベルのプレーを見せる36歳はこの試合もすごかった。先制点の起点となるインターセプトはコケの何枚も上をいく感を見せ、73分のフェリックスとの一対一では経験の差を見せつける完勝だった。今期からマドリーのキャプテンマークを背負う機会が増えるモドリッチは今のマドリーのまさに心臓だ。

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2アシストのヴィニシウスもベンゼマと並ぶ二大エースになり、アセンシオもゴールが増えてきている。クルトワは恐ろしいほどの安定感を見せ、ミリトン&アラバコンビは守備からビルドアップまで貢献し、偉大な前任者をすっかり忘れる活躍を見せる。

アンチェロッティの束ねるチームは最高の完成度を誇り、10連勝を達成した。リーガは独走状態で、CLも終わってみれば余裕の一位通過。CL決勝進出一回戦の組み合わせ次第ではチェルシーやパリともいきなり当たることになるが、今の状態なら昨シーズンの借りを返せるだろう。とにかくこの中盤の山場、全勝で登り切り最高・充実の状態だ。久しぶりにミッドウィークがフリーになり、次は次節で一週間後のカディス戦となるがここで油断をせず勝ち切り、その後中二日でのアスレティックとの再戦をものにし、2021年を締めくくりたい。

 


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2021.12.5 止まらないマドリー vsレアルソシエダ

(読了目安5分)

前節セビージャに勝利したマドリーは、ミッドウィークに延期分のアスレティック戦にも勝利して、好調レアルソシエダのアノエタに乗り込む。

対するソシエダアスレティック、セビージャと並んで失点数がリーガ最小タイ、ホーム・アノエタでは今シーズンのリーガ無敗。最後に敗れたのは4月のセビージャ戦まで遡る。

注目の上位対決だが、マドリーは今週のミッドウィークに引き分け以上で首位突破が決まるCLインテル戦、そして何より来週末にマドリードダービーを控えるため、カゼミーロの累積警告リーチなど先を気にしながらの戦いとなる。

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ところが試合開始早々、ベンゼマが負傷交代。ヨヴィッチと交代する事態になった。ヨヴィッチは27分モドリッチが何とか繋いだボールをロドリゴから受けたが敵に突っ込みあっさりボールロスト。31分にはカゼミーロの縦パスを簡単に背負ったDFにつつかれてロスト。前半中盤ソシエダの流れの時間帯、一切チームに貢献できないヨヴィッチをみて、ベンゼマの重要性と質の高さを実感させられた。ハーフタイムにベンゼマ不在の中での今日の試合と今後の大一番に不安を覚えていたが、ヨヴィッチはプロだった。ベンゼマという大エースの影で腐らずに整えていた。

後半開始早々2分、ヴィニシウスがカットインからヨヴィッチに預けると、ヨヴィッチは2タッチでヴィニシウスに完璧に落とし、ヴィニシウスのリーガ10得点目をお膳立てした。ヨヴィッチはこのアシストのシーンで特に顕著だったが動かない。ベンゼマのようにサイドに流れたり、中盤まで落ちてきたりすることはほとんどない。どっしりと真ん中で構え、勝負のタイミングのみで動き出す。周りもそれに理解してきた後半はヨヴィッチはチームに上手く溶け込んでいた。ヨヴィッチが流れない分、ヴィニシウスが右サイドまで流れるなど周りがサテライトのような動きをしていた。f:id:madridista19020306:20211205095932j:image

さらには後半12分、CKから気迫のこもったダイビングヘッドを決めてみせる。ベンゼマには出来ないプレーだ。ヨヴィッチはベンゼマの役割は担えない。しかしながらベンゼマとは異なる良さをチームにもたらし、チームもそれを理解する時間があれば確実に機能する。ベンゼマというビルドアップに貢献的な選手から、突然ヨヴィッチに代わると周りもなかなか順応出来ない。しかしマドリーというチームのプレイヤーの質を考えればベンゼマ不在時にはヨヴィッチはマドリーのトップを担える連携は確実に取れる。ベンゼマの離脱期間がどれほどかは分からないが一安心だ。

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あとはカゼミーロが不安材料だった。この試合何度も警告対象とも思えるシーンがあった。しかしベンゼマからキャプテンマークを引き継いだモドリッチなどがコントロールしながら何とか60分過ぎに、2点差になったため、カマヴィンガと交代した。カマヴィンガもリーチなのだが。カマヴィンガは交代後76分にカゼミーロばりのスライディングタックルを見せた。カゼミーロと同様のポジショニングを取れていた。DFラインと適切な距離感を保ち続け、危険なエリアに侵入されたらすぐさま対応できるポジショニングを取れていた。

カゼミーロに続きクロースを下げて休ませたが、モドリッチはこの試合フル出場した。おそらくインテル戦はお休みかもしれないが、今日のモドリッチは満点だった。周りを見ながら必要なところにいつもいて、カゼミーロと連携しながらDFライン前のポジションは空けることがなく、最後まで疲労を見せなかった。キャプテンマークの誇りなのかもしれない。CLでマルセロが途中出場した時、ベンゼマがすぐさまキャプテンマークをマルセロに渡しに行った。しかしその瞬間はカウンターのチャンスで、マルセロは「後でいい」といったジェスチャーをしていた。ベンゼマのマルセロへのリスペクトとキャプテンマークの重さの認識が伺えるシーンだった。

結果的にベンゼマの負傷こそあったものの、ヨヴィッチの躍進と、カゼミーロのマドリードダービー出場停止回避、難敵ソシエダ相手の勝ち点3。完璧な試合だった。

ヤヌザイ、オヤルサバルはかなりの苛立ちを見せていた。ミリトンがことごとく壁になり、組織的な守備で決定的なピンチはひとつも作らず、完勝だった。マドリーは勝ちグセがつき、良い流れで手堅く勝利出来ている。最高の試合だった。 

そしてなんと言っても今節はバルサアトレティコ共にホームでベティスマジョルカに敗れている。特にマジョルカ久保建英アディショナルタイムの得点で勝利した。日本人としてマドリディスタとして今節はたまらなく気持ちいい週末だった。

止まらないマドリーはこの悪魔の7連戦を勝ち続けている。あと2試合ビッグマックが控えている。もちろんそれ以降の試合も同じ価値なのだが、シーズン中盤の大きな大きな山は順調に登り続けている。ベンゼマが負傷してしまったように過密日程の中苦しいところだが、チーム一丸となって登り切りたい。f:id:madridista19020306:20211205100019j:image

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写真はレアルマドリード公式HPより


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2021.12.2苦しみ抜いてもぎ取った勝ち点3 vsアスレティック・ビルバオ

(読了目安5分)

ビルバオソシエダインテルアトレティコシーズン中盤の山場を迎えているマドリーは前節セビージャ相手にクラック「ヴィニシウス」のゴラッソで何とか勝利した。その試合から、右サイドバックのカルバハルをルーカスバスケスに変更したのみでイレブンを組む。過密スケジュールだが良い状態のチームをいじらないという方針のアンチェロッティの策が伺える。

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対するアスレティックは好調で、3日前マドリーがセビージャに2失点を食らわせ、リーガ最少失点数チームになった。

4-4-2でブロックをつくる堅いアスレティック守備陣を相手にマドリーは最初にビッグチャンスをつくる。起点はやはりヴィニシウスだった。左サイドワイドでロングボールを受けるとカットインで仕掛けてPA隅へ、そこから右足で低めのクロスをあげると、ぴったりベンゼマの動き出しと合いシュート。アスレティックのスペイン代表GKウナイシモンに防がれるも、ヴィニシウスとベンゼマ二大エースの息のあったプレーを見せる。

しかし20分代に入るとアスレティックが主導権を握る。ビルドアップから低い位置ながらカゼミーロの脇のスペースを取ると、そこからイニャキのスピードを活かすロングボールでルーカスバスケスの裏を取る。ミリトンのカバーとブロックで難を逃れた。さらに、右サイド低い位置からのFKにゴールエリア内でラウールガルシアが至近で合わせるもクルトワのスーパーセーブ。マドリーのDF陣が何とか耐え凌ぐ。

悪い流れながらも前半終了間際、カゼミーロのフィードを左サイドワイドで受けたヴィニシウスがカットインイン。モドリッチに当ててワンツーでアセンシオに繋ぐ。アセンシオがミドルを放つと、最終的にベンゼマの元に来たこぼれ球を押し込んで先制した。

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後半に入ると、アスレティックは右サイドバックにデマルコスを投入する。ヴィニシウスの仕掛けによりイエローをもらい右サイドが2人とも警告を受けていたこともあっただろう。アスレティックは後半、右サイドを起点に攻撃を仕掛ける。主導権を握っていたのはアスレティックでマドリーは堅い守備に決定機を作れない。

60分縦パスをカゼミーロの脇のスペースで受けたラウールガルシアからワンタッチでパスが繋がり、ボールは再び右に流れたラウールガルシアの元へ。中央に折り返すとゴール前に走り込んだダニガルシアが合わせる。しかしルーカスバスケスがスライディングでブロックし何とか免れた。このシーン、ダニガルシアにマークを着いていたのはモドリッチだった。右サイドラウールガルシアが流れた時、ダニガルシアがスプリントをかけゴール前に走り込むも、スピードでモドリッチは着いていけていなかった。モドリッチ疲労が見えていた。ここで代えてもよかった。後に、モドリッチがボールロストをし、イニャキがスピードを活かし1人で持ち込みカウンターを仕掛けられた。モドリッチが自らフルダッシュモドリッチ警告の代償を払ってピンチを脱したが、この危険なシーンも、モドリッチの苦しいスプリントも、警告もフェデの投入を急げば回避出来た。モドリッチの換えはいない。そのため疲労のマネジメントを徹底して欲しい。とはいえ、直後にモドリッチもクロースも下がっている。気がかりなのは警告4枚でリーチのカゼミーロだ。アンカーを担えるサブは特に乏しくソシエダ戦でカードを貰うとマドリードダービーの出場が出来なくなる。どちらの試合にもカゼミーロは欠かせないため心配だ。

話をこの試合に戻す。依然アスレティックペースで試合が進む。前半のラウールガルシアのシーンと左右反転同位置のフリーキックから再びゴールエリアでヌニェスが合わせる。マドリーは前節セビージャ戦のCKからの失点といい、フリーキックからのフリーで合わせられるピンチといい、セットプレーにつくづく弱い。アンチェロッティが試合後にセットプレーの守備について課題と挙げていた。マドリーはCK時、主に人に付くのではなくスペースに入っている。これが不正解という訳では無いが、何かしらやり方を変えなければ、今後セットプレーで痛い目をみることになるのは明白だ。

アスレティックは攻勢を強める。スローインを受けたサンセットがカゼミーロと入れ替わると、ドリブルで中央を強引に突破してGKと一対一に。しかしまたしてもクルトワが防いだ。もはやこのシーン、クルトワが破られる気がしなかった。頼もしい守護神だ。その後はミリトンの顔面シュートブロックや、クルトワの安定したパンチングなどでことごとくアスレティックの得点機会を防ぎきった。この試合アスレティックの攻撃は右サイドから16回、左サイドから5回と特に後半から右サイドの攻撃が狙いだった。マンディが何度か破られたものの、最後の最後の粘り強さを見せたマドリー。特にMOMのクルトワは文句なしの選出だ。また、ヴィニシウスの献身的な守備もあった。ヴィニシウスは謙虚で献身的だ。本当にサポーターからも愛されている。

これでセビージャ戦、アスレティック戦と2連勝。2位アトレティコとは暫定7ポイント差。公式戦は7連勝。しかし、この佳境はまだま五合目あたり。まずはまたしても中2日の大一番。ラ・レアルの本拠地、要塞アノエタに向けて休んではいられない。


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写真はレアルマドリード公式HPより

 


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2分10秒からドリブル指導

謙虚なヴィニシウス、この学ぶ姿勢はマドリーで世界一の選手にもなれるだろう。

 

2021.11.29 スペクタクル・ヴィニシウス vsセビージャ

 

(読了目安5分)


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レアル・マドリードは前節のグラナダ戦を確実に勝利し、ミッドウィークのシェリフ戦でCLの決勝トーナメントを決めてこの試合に臨む。中3日の過密日程の中、シェリフ戦のロドリゴからアセンシオに1枚だけ替えてスタメンを組んだ。対するセビージャもミッドウィークにCLヴォルフスブルク戦を勝利して、チャマルティンに乗り込む。へススナバスとエンネシリを負傷で欠くものの、モンティエルとラファミルという層の厚さで実力十分のイレブンを組んだ。

試合の流れは両者の時間帯があり、ほぼ50ー50のポゼッションとシュート数が表す様に互角だった。

堅い入りで、試合が動き始めたはマドリーの失点シーン前半12分だ。CKからの失点だったが確実に防げた失点だったといえる。失点のCKの前も連続してCKがあったのだ。その失点シーンの1つ前のCKでセビージャのキッカーアクーニャはファーサイドでフリーのラファミルを狙っていた。前のブロックに引っかかったためラファミルには渡らなかったが、ここでの修正がなかった。次のシーンのCKでそのラファミルに全く同じボールで合わせ、先制した。

得点を機にセビージャが攻勢を強める。14分、カルバハルのミスを誘い、1度はシュートブロックに合うも、こぼれ球を拾い、突破したラファミルがシュートを打つ。この試合のマドリーを救ったのはクルトワだった。ここで立て続けにやられていればマドリーは惨敗していたかもしれない。ファーを狙った強めのシュートを、左足と左腕で止めて見せた。この試合の分かれ目だった。依然セビージャの時間帯だがオカンポスのポスト直撃のミドルシュートを除いて決定機は作らせなかった。

前半30分に近くなる頃からマドリーの時間帯となる。するとすかさず、同点ゴールにすべき時間だとマドリーのカゼミーロ・クロース・モドリッチが前線に顔を出す。アラバ、クロースとミドルを立て続けに放ちさらに攻勢を強める。するとこの流れがマドリーに幸運をもたらす。32分、ミリトンの無回転ミドルの処理をセビージャGKブヌが誤り、ベンゼマがこぼれ球を決めて同点。ミリトンは数節前のリーガでもあわやと思わせる無回転ミドルを放っているが、本当に多岐に渡って大きなプラスをマドリーにもたらしている。53分セビージャがボールを後ろへ下げるタイミングで、ミリトンがラインコントロールをし高いDFラインを保っていたシーンがあった。普段ラインコントロールを担うのはアラバだが、ミリトンもアラバ任せではなく、責任感やリーダーシップをも兼ね備えている。

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ミリトンを絶賛したがこの試合の主役はもう1人のブラジル人だ。ミリトンのロングフィードを左サイドで受けたヴィニシウスは胸トラップでオカンポスを外すと、寄せてきたモンティエルをかわし、PA隅から豪快にシュート。ブヌの手を弾きネットに突き刺さった。圧巻だ。この試合はほぼモンティエルがヴィニシウスを抑えていたが全てを変えた。苦しいマドリーを救った。価値のあるゴラッソを決めた。今のマドリーはエースが2人いる。スペクタクルなシュートだった。


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両者決定力を欠き、堅い守備で引き分け濃厚の雰囲気を1人で変えてみせた。もうどんな状況であろうと、マドリディスタは彼を期待せずにはいられない。

最後ラストプレーでCKからセビージャが決定的なヘディングシュートを放つもクルトワが防いだ。またしても価値ある勝利を守って見せた。

クルトワミリトン、そしてヴィニシウスが今日の3人だ。

マドリーはまたしてもミッドウィークにバスクの強豪をチャマルティンに迎え撃つ。そして中2or3日の連続で強敵との戦いが続く。ノリに乗ったマドリーに期待したい。

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写真はレアルマドリード公式HPより


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2021.11.22 満足のぬるい勝利 vsグラナダ

悪魔の3週間が始まった。21日間で7試合。そのうち後半14日間には、セビージャ、ビルバオソシエダインテルアトレティコと激突する。それに備えて、まずグラナダ戦とミッドウィーク開催のCLシェリフ戦は確実に勝利したい。それも主力を温存する余裕を残しながら。「パルティードパルティード(試合から試合へ)」アトレティコが目の前の試合にだけにとにかく集中することを表す合言葉だ。しかし、今のマドリーのような、この状況では先まで見据えた戦いをする方が堅実だろう。

この試合マドリーはミリトンを今シーズン初めてベンチに置いた。アラバとコンビを組むのはナチョ。負傷明けのロドリゴの代わりにアセンシオを右WGに起用した。グラナダは4-4-2をひいて高いラインを保ちながら守備をする。しかし特別強く前からプレッシャーをかける訳でもなく、ゴール前をガチガチに固めるという訳でもなくマドリーとしてはやりやすかった。

マドリーは序盤ゆったりとしたペースで後ろで組み立ながら攻撃の機会を伺う。ぬるい入りをしたため、相手が相手なら厳しい状況だったが、今日のグラナダはすこぶる悪かった。鋭い縦パスのショートカウンターから立て続けにチャンスを作り、マドリーは着実に仕留めた。グラナダはセットプレーの守備にも集中力がなく、分析済みだったマドリーはこの試合2、3度デザインされたセットプレーを見せた。

この試合際立ったのは中盤トライアングルの質の高さだ。カゼミーロ、クロース、モドリッチ、やはり彼らは世界トップレベルだ。カゼミーロとクロースの縦パスから得点シーンを演出した。また3人ともこの試合アシストを記録した。フェデやカマヴィンガへの期待は大きいが、ビッグマッチではやはりこの3枚を抜擢するだろう。

またヴィニシウスはやはり格別だ。このところ毎試合思い知らされる。失点に繋がるボールロストこそ1度したものの、レッドカードを誘うドリブル、突破率の高いドリブル、メリハリを付けたパス選択、広い視野と落ち着き、キープ力や強さ、格別だった。1得点あげ、得点ランクでもベンゼマに次ぐ単独2位につけている。若いがゆえに、回復が早く、試合に出ながらコンディションを調整する方が良策だと考えるアンチェロッティは彼を起用し続けているため、ファンは疲労や負傷こそ心配だが、ノリに乗ってる今はアンチェロッティの策が正解だろう。存分に暴れて貰いたい。

1つ気がかりなのはイスコ、ヨビッチを初めとする、今のマドリーの波に乗り切れていないメンバーだ。前述の通り、過密日程で強豪を相手にする。終盤はアラバもヴィニシウスもベンゼマもクロースもモドリッチも休ませることができた。しかし、彼らとは明らかにクオリティに差が見える。またベイルやアザールはもはや論外である。競走が激しく、先発に食い込める程チームに刺激を与えるサブ選手はアセンシオ、ナチョくらいだ。フェデの復帰が待たれるが、これではこの先の強豪との5連戦厳しいだろう。

まずは次のシェリフ戦、前回対戦で敗れているだけに気の抜けない戦いになるが、余裕を持って勝ちたいところである。シェリフ戦勝利を逃すと、CLの決勝トーナメント進出が激戦最中のインテル戦に持ち越される最悪の展開になる。